サッカー日和 [クラスの仲間たち]
「ゴルァアー! ファーサイドに走らんかい!!!」
日本語にすれば、こんな感じだろう。担任Mの怒鳴り声を始めて聞いたのは、週に一度のサッカーの練習の時だった。今通っている語学学校で毎週金曜日の授業後にサッカーをしている。大学のサッカーグラウンドの一角を借りて一時間サッカー好きが集まって試合をするのだ。レギュラーメンバーは、私と担任のM、リビア出身のFとRとM、コロンビア出身のC、中国人のY。このメンバーはどんなに寒くて、「今日はいないかもな」と思っていても、しっかりやってくる筋金入りだ。これに天候のよしあしが影響して何人か増える。
特に担任のMは、サッカー用のオリジナルユニフォームを自分で買いそろえ、サッカーシューズに脛当てまで用意する。「本当は、子供が最近生まれて金曜日はまっすぐ家に帰んなきゃいけないんだけどね。」といっている彼が金曜日のサッカーを欠場したのを、私は一度しか見たことがない。そのときは、サッカーシューズを鞄に入れるのを忘れてきてしまったためグラウンドまで来ていたのに、しぶしぶ帰らざるを得なかったのだ。彼は「俺って、バカな」といいながら非常に残念そうだった。
授業中は先生と生徒という関係のため遠慮があるが、サッカーは別だ。特に後半、試合がヒートアップしてくると、みんな声が荒くなってくる。
「ライナーにパスをまわせ!」
「簡単にやれ!」
「逆サイド!」
「プレッシャーをかけろ!」 等々
そして、極めつけが冒頭に書いたMの「ゴルァアー!ファーサイドに走らんかい!!!」
授業中温厚な彼の怒鳴り声を聞いたとき、「授業中は我慢してんだなー」と思って、親近感がわいた。
「俺って、バカな」:''Oh, I'm stupid.''
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