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雰囲気のよいパブ in Sheffield [イギリス考]

昔は、鉄鋼の町として鳴らしたシェフィールドであるが、今は学生の町としての色合いが濃い。以前シェフィールドの語学学校の先生に、鉄鋼後のシェフィールドの主要産業は何か聞いたところ、即座に大学であるとの答えが返ってきた。そんな町であるので、お店も学生にうけるものが自然と多くなる。

パブなども明らかに若い年齢層をターゲットにしたものが軒を連ねる。少し暗めの人工的なライトにはやりの曲をがんがんにかけてノリのよさで細部はごまかす。にぎやかに仲間と酔っ払いたい二十歳そこそこの若者にはもってこいのスペースが町の中心部のどこそこにある。最初はイギリスのパブというだけで新鮮味を感じていた私もさすがにあまり代わり映えしないお店に少し飽きてきた。

そこで、Jとシェフィールドにも雰囲気の良いお店はないものかと一度パブをめぐって歩き回った。店を見つけては、ためしに入ってみる。あまり変わりばえのないお店が何度か続き、いくらかうんざりしていたところで、ふと以前、店の前を通ったときになかなか中の雰囲気の良さそうだったお店を思い出した。なかなか距離はあるがものはためしだ、いってみた。

目的のパブはロンドンロードというレストランが立ち並ぶ通り、薬局の隣にあった。入ってみるとなかなか盛況であった。客層は我々と同じかもう少し年上の人たちである。音楽をまったく流していないのでしっかりと会話が楽しめる。濃い茶色の木目が暗めのライトアップに映えて、なかなかいい雰囲気を醸し出している。偶然一番奥の席が空いていたので、Jとそこに陣取りビールを飲むことにした。

雰囲気が良いと会話も弾む。Jと近況やら軽口やらをたたいていると、隣座っていたイギリス人のお兄さんたちが、話かけてきた。彼らの言葉はややアクセントが強く、理解するのに時間を要したが、一通り挨拶を終えて彼らの人となりがわかった。話しかけてきた愛想のよさそうなほうは、シェフィールドにある美術学校に通っているらしい。もう片方のごつい方は美術学校の同級生だったのだが、退学したらしい。ごついほうはしきりに日本語のスラングを聞きたがった。「これは日本語でなんていうんだ?」「これは?」「それじゃこれは?」と矢継ぎ早に英語のスラングを言ってくる。あきれた我々を見てか、愛想のいいほうが「こいつは、いかれてんだよ。」といってきた。しょうがないので「いかれた」方に丁寧に日本のスラングを教えてあげた。教えると、喜んで「バカヤロー」などと連呼していた。なるほどなかなかいかれたやつだ。

そろそろ別の店に移動しようかと、Jと話し合ったのちごつい方に「近場でいいパブはないか」と聞いてみた。すると近所にあるという。ごつい方は、結構丁寧にそのパブまでの道のりを教えてくれた。店を出てごつい方のいうとおりにパブを目指す。しかし、そこにお店はなかった。我々が方向音痴だったのか、はたまた、やつがまたいかれていたのか?

パブ:public house
(イギリスのパブは日本であるような形態のものではなく、いわゆる酒場です。)


サルサダンスについて思うこと [イギリス考]

週に一度、サルサダンスレッスンに通うことにしている。サルサダンスレッスンは私の住んでいる団地から5分ほどの離れたところにある南米系のバー&レストランで行われる。先生はいかにも胸毛がもさもさ生えてそうなラテンのおじさんである。毎週のこのこ顔を出しているので、最近先生に顔を覚えられた。

今日もそのレッスンがあったのでいってきた。レッスン開始5分ほど前にお店に駆け込むと先生に「オッす、今日もきたな。」みたいな笑顔を見せてくれた。そこで、「へっへー、今日も来ましたよ。」みたいな笑顔を返す。店を見渡すといつものごとく、日本人の友人のJがもうスタンバイをしていた。彼とレッスンが始まるちょっと前の時間を利用してステップの確認をする。Jは私よりもまじめにダンスのステップをしていたので私よりも上手い。

レッスンが始まる。最初は基本のステップから始まり、徐々に複雑な動きになってゆく。ステップはさすがに1ヶ月通ったのでスムーズにできるようになってきた。体があったまってきたところで男女が向かい合ってペアダンスのレッスンに入る。女性の比率が男性に比べ多いため、ローテーションを組んで、先生の指示で女性が入れ替わるようになっている。この仕組みのため、レッスンが終わるころにはほとんど全員の女性と一回は踊ることになる。

女性と向かい合い、手をつないでダンスをするということになれていなかったため、最初のころはどぎまぎしていた。しかし、最近は慣れてきた。新しく女性と向き合うと、お互いの緊張を解きほぐすため笑顔で自己紹介をする。常連の女性たちとは、「いやー、今日もムズいっすね。」などと軽口をいったりもする。そして自信を持って、ある程度女性にくっつく。照れて距離をとりすぎると逆にダンスに支障が出てくる。ダンスに支障が出てくると余計気まずくなる。自信を持って動作を行うのが大事なのだ。

さて今日のレッスン内容である。最初はクロス・ボティー・リーブと呼ばれる女性と男性の位置を変えるステップ。続いて、女性が1回転するステップ。男性が1回転したのちに女性が1回転するステップと続いて、最後はツイストと呼ばれる体を引き寄せたままくねくねさせるダンスをなっらった。やはり最初は初めての動きに多少の乱れがあったが徐々にスムーズに動けるようになってゆく。自分の中でも「上手にエスコートできたな」と思って女性を見ると、彼女たちもうれしそうな表情を見せる。
そんな感じで1時間があっという間に過ぎてしまう。

サルサダンスを始めて思うのは(これはもしかしたらサルサダンスのみならず社交ダンス全般に言えることなのかも知れないが)男性がしっかりしないとダンスが上手くいかない。先生は男性側をさしてリーダーと呼ぶ。そして、女性側にはリーダーの指示にしたがうようにという。すなわち非常に男女の区別がはっきりしているのだ。男性にリーダーシップを求め、女性にそれに合わせる柔軟性を求める。言葉にすると非常に封建的な響きがあるが、実際にそうでなければダンスが上手くいかない。男女の役割分担がきれいにダンスのシステムに組み込まれているのだ。であるからこそ男性は女性に対して力強く(腕力ではない)かつやさしくなければならない。リーダーシップと女性に対する思いやりが上手にマッチするときれいに踊れるし女性も喜ぶ。サルサダンスを極めたら女性にもてるだろうな、などと最近考えている。

サルサ:salsa


ただいま、おかえり [イギリス考]

海外で生活していて思うのだが、日本の挨拶の概念は少し独特なようである。以前、台湾人の友人と習慣としての挨拶について話し合ったことがある。その際私が、「家の玄関をまたぐとき、家の中に誰もいないとわかっていても『ただいま』と思わず言ってしまう。」といったら驚かれた。

曰く、「誰もいないとわかっていて、誰に向かってでもなく言葉を発するのは変だ。」とのこと。確かに言葉はコミュニケーションの手段であるという観点から考えると、誰もいないとわかっていて「私は帰ってきた。」と報告する行為は奇妙にうつるのかもしれない。なるほど彼女の疑問は至極ごもっともなわけだ。彼女の質問に対し、「ただいま」と口に出すことで、自分自身に対して「今帰ってきたのだ」とけじめをつけるのだ。と説明したのを覚えている。

外国人から見ると奇妙に見えるかもしらんが、私はこの日本独特の習慣はすばらしいものだと思う。
玄関をまたぐ際に「ただいま」、家を出るときに「いってきます」、寝るときに「おやすみなさい」、飯を食うときは「いただきます」などなど。誰かが聞いているいないにかかわらず、これらの言葉を口に出すことで、何よりもまず自分自身に対しけじめがつく。またもし人が聞いていたならば、言葉を発した人が今から何を行うかわかるので安心できる。こういった小さな挨拶の積み重ねが日々のメリハリと活気をもたらすのだと思う。

2、3週間前だったか、日本語の「ただいま」と「おかえり」をフラットメイトたちに教えた。そして、玄関をまたぐたびに「ただいま~」、彼らが帰ってくるたびに「おかえり~」ということにした。そして今日、私が家に帰り「ただいま~」といったら、JさんとHが「おかえり~」と日本語で返してきた。なんとなくうれしくなってしまった。

けじめ:distinction


イギリスの同姓愛について [イギリス考]

今日のニュースより

「イギリスにをける3番目に大きい政党であるLib Dems(liberal Democrats, 邦訳は自由民主党だと思う)の党首候補者が少年売春を行っていたことが発覚した。同候補者は候補選出馬を断念し、党、友人、家族へ向けて謝罪文を書いた。現在Lib Demsはこの事件による痛手をいかに回復するかに腐心している。」

このニュースをみて、イギリスにおける同性愛の広がりを感じた。ここイギリスでは去年、同性愛者の結婚を認める法案が施行され、エルトン=ジョンが同性愛の恋人と入籍したことが話題になった。
日本においても同性愛の認知度はテレビにおける同性愛者の活躍、インターネットなどのメディアを通して彼ら彼女らの主張などに触れる機会が増えたこと、などによって高まっているとは思う。しかし、いまだ法的な結びつきを国が保障するところまではいっていない。

イギリスで生活して思ったことなのだか、異性を好きになる人々はしっかり異性を好きなんだということをアピールする。逆にそれをアピールしないと、同性愛だと思われてしまいかねないからだ。それだけ同性愛の文化が浸透しているということだろう。以前、ご厄介になっていたアイルランド人のご家庭の娘さんにゲイの友人が一人いて、娘さんがよく家に連れてきた。クラブに遊びに行く前に化粧の準備を入念にお互いしあっていた。

正直なところ、このイギリスの性に対するリベラルな一面を日本も受け入れるべきなのか否かという点では、いまだ私自身結論が出せずにいる。もし私の息子が、アイルランド人のご家庭で見たゲイの少年のようにくねくねしていたら、思わず「もっとしゃきっとせい!」としかってしまうと思う。しかし心における性と体の性の不一致からくる葛藤に苦しんでいる方が大勢日本にもいるという事実ひとつをとっても、放置しておける問題ではない。

今後、日本国内でも真剣に話し合って行くべきトピックなのだろう。

同姓愛:homosexuality


イギリスのおじいさん、おばあさん [イギリス考]

つい先日、Bakewell という田舎町に行ってきた。こじんまりとまとまった平和そうな町である。観光地としても地元の人たちに人気があるらしく、定期的にバスが来て観光客をおろしてゆく。こういう平和そうな田舎町には、やはりというか老人が多い。仕事を退職なさってから移り住んでいらっしゃる方、観光で訪れている方などだろう。夫婦で仲良く歩いていらっしゃるのが良く目に付く。

彼らに一様に言えるのは、急がず自分のペースで歩いているということだ。もう少し急いだほうがいいのでは?と傍から見て思えるようなときにもあまりペースは乱さない。Bakewellなどは観光化されているので、車もなかなか通っているのだが、ここでは急がないのがルールなのだといわんばかりである。車に乗っているほうはいらいらするだろうなと思っていたら、案の定業を煮やしたドライバーが「この、ウシ!!」とのそのそ歩いている老人たちに叫んでいるのを聞いた。

そういわれても、少し困った顔をするだけで、スピードを変えない彼らのスタイルに日本にはないものを感じた。

のそのそ歩く:flop


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