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英国王子、イラクの前線へ [イギリス考]

今日のBBCニュースより以下引用(括弧内は私の意訳です)。

Prince Harry will serve in Iraq

「Prince Harry's regiment is to be sent to Iraq for a six-month tour of duty, defence officials have confirmed. (ハリー王子[英国第二王子]の所属する連隊がイラクで6ヶ月の任務に就くことになった、との国防省報道官の公表)」

イギリスの王家って言うのはなかなか武張ったところがあって、フォークランド紛争のときにもチャールズ皇太子の弟のアンドリュー王子がヘリコプター操縦士として、前線で活躍していたりしている。つい最近も、兄貴のウィリアムがイラクでの後方勤務から帰ってきたばかりで、紙面をにぎわせていた。国民のロイヤリティーとか昔からの文化の継承だとか保守的な部分によって存在を保障されている王族にとっては、軍隊勤務それ自体はある意味義務みたいなもんなのだと思う。なので軍務につくというそれ自体はそれほど驚かないのだが、ちょっとすごいなと思ったのは、この時期にイラクの前線に送るということだ。

これまでのところイラクでイギリス人兵士は132名殺されている(2007年2月10日、BBC)。アメリカ兵とイギリス兵を狙ったスアサイドアタック等の攻撃はいまだに続いている。そして、叔父のアンドリュー王子が前線とはいえ比較的安全なヘリコプター操縦士であるのに対し、ハリー王子は偵察小隊隊長(少尉待遇王族位)でバリバリの陸上勤務だ。すなわち戦火のやまない前線で働くことになる。そして現在、イランが非常にキナ臭くなってきており、もしイランに火がついた場合、何時イラクに飛び火するか分からない状態だ。この状況下で、ブレア政権は数ヶ月以内に7100名のイギリス兵士を5500名に減らすことを公約している。要は仲間は減る。これに加えて、ハリー王子が王子であることがリスクを上昇させる可能性についてもBBCは言及している。ハリー王子はイギリス王家の子息であり、イギリスを敵視しているイラクの武装勢力から見ると格好のターゲットとなりうる。

この状況下で、それでもハリー王子を前線に送り出すことになったのは、ハリー王子自身の陸軍将校しての能力を上司が評価してのことだそうだ。そりゃそうだ、無能な王族を将校として連れてっても、厄介ごとが一つ増えるだけだ。王家サイドとしては、長兄のウィリアムがもうイラクから帰ってきてるので、最悪ハリーに何かがあっても王族の血脈は保てるというのもあるのかな、なんてことも考えられる。それと同時に、ハリー自身の強い意向があったようだ。ハリー自身の以下のセリフは、男としてちょっと血が湧くんだがどうだろう。

「There's no way I'm going to put myself through Sandhurst then sit on my arse back home while my boys are out fighting for their country. (オレの部下が国のために外で戦ってるときに、オレだけ国内のSandhust(イギリス国内の軍事訓練施設名)で無為に過ごしているなんて、そんなことできっこない)」

彼は偵察小隊長なので12名の部下がいる。その部下をさして「my boys」と言ってるあたり、部下に対する連帯意識というか責任感というか、男としてなかなか清清しいものを感じる。すなわち、王族は王族だけど私が普通に友達になりたい類のヤツだなというのが分かって、それが何となく親近感が湧いてよい。それと他の文章を読んでたら、年中付回してくるマスコミの目からどうしても抜け出たいということもあるみたい。彼は母親のダイアナがパパラッチとのカーチェイスの末に事故死したという因縁もあり、マスコミが相当嫌いみたいだ。もしイラクに行くことになれば。彼の所在を知らせることは、命の危険を高めることなので、軍隊側は彼のイラクでの所在を絶対にもらさないだろう。クラブに行った先で待ち構えていたカメラマンとケンカをしたことがあるほどマスコミ嫌いの彼にとっては、軍隊の鉄の掟のほうがしっくり来るのかも知れない。

少尉:Second lieutenant

 


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